花蓮で「手揉みで作る蜜香紅茶製茶ツアー」を開催しました(其の1)

蜜香紅茶を作りツアーを開催しました。

このツアーの記録は、5月と9月に二回行ったものをまとめています。
二回とも、日本からの5人の生徒さんを台北からお連れしました。

一以庵

目指す場所は、花蓮縣瑞穂郷。台北から、6:40発の普悠瑪號(プユマ号)で3時間、9:50に瑞穂駅に到着です。台鉄(日本のJRにあたる)の駅から車で10分、目指す茶農家のショップ兼製茶場に到着です。

瑞穂で茶園を営む高肇一さんにご指導いただき、手揉みで蜜香紅茶を作ります。

一以庵

高肇一さんは、台湾の「神農獎」受賞者であり、さらに「全国十大傑出農民」に選出されたこともあるスーパー茶農家であり、作った蜜香紅茶が世界チャンピオンに輝いたこともある超優秀な製茶師です。

お顔だちが見た目、ラテンの血筋が入っていそうですが、物静かで実直なお人柄です。

一以庵

長袖長ズボンにお帽子。日を避け風を通すので、頭が蒸れずに快適です。身支度を整えて念願お茶畑へ。

この一帯は、蜜香紅茶の一大産地です。今から15年ほど前の2004年から、政府の方針に賛同し農薬の使用をやめたそうで、以来、生態系と茶の木自らの力に任せた茶園管理をしているそうです。
近隣の茶畑は、広範囲にわたって無農薬栽培を行っているので、他の畑の農薬が飛んでくることもなく、茶摘みも茶作りも、安全に行うことができるそうです。

一以庵

私以外は全員茶摘み初体験。皆さん、すごーくやりたかったみたいで全員やるき満々です。ちょっと落ち着こうか、となだめたいくらいの前のめり。皆さん、可愛い。

無農薬の茶園は、雑草がふさふさと茂っていて、畝がくっきりしていません。しばらく床屋さんに行っていない、野球少年みたいになっています。でも、イモムシ毛虫の類はあまりいなくて、蜜香作りに大切なウンカちゃんがたくさんいました。ウンカは北京語で「茶小緑葉蝉」という学名を持つとても小さい羽虫です。日本にも同類の虫がいて、稲などに取り付く害虫として知られています。以前、米どころご出身の生徒さんが「この虫知ってる!」とおっしゃっていました。下の写真では巨大に写っていますが、実際はもっとスリムで小さいです。

一以庵

この昆虫に汁を吸われることにより、茶の木が免疫力を発揮します。害虫が嫌いな味や香りがする体液を送り込んだり、害虫の天敵の蜘蛛などが好む香りを発して、害虫を食べてもらったりするそうですが、その状態の芽や葉を摘んでお茶を作ると、蜜香のする茶が出来上がるのです。
茶小緑葉蝉は害虫です。この虫が発生しの茶の木に取り付くと、汁を吸われた芽や葉は成長が止まってしまいます。放っておくと、汁を吸われた芽や葉は茶色く変色して腐れ落ちてしまいます。茶摘みへの影響はというと、茶葉の産量が本来の1/3に減ってしまうくらいの、かなりの害虫です。ところが、近年では、この虫が、蜜香茶をつくるのに欠かせない存在になっているのです。

一以庵

桃園・新竹・苗栗茶區の白毫烏龍茶(東方美人茶)は100年以上前からある蜜香茶で、世界的に有名で高値で取引されます。蜜高人気に乗って、今では台湾の多くの茶區で茶小緑葉蝉の虫害にあった茶葉を使って、蜜香茶(緑茶、烏龍茶、紅茶)を作っています。どれも他では作れない台湾の特産茶となっています。

ここ花蓮縣瑞穂郷舞鶴台地には北緯23.5度の北回帰線が走っており、舞鶴台地は花東縦谷という地形上にある台湾の十大茶葉産地のひとつです。土壌が弱酸性で日夜の気温差が大きいことから、茶葉の育成にとても適しているそうです。

(次回につづく)

一以庵

Hondo Yasuko

台北暮らしは1996年から。中国茶は2000年より。現在は台北の中山と天母にて中国茶教室を主宰するとともに、鎌倉と大阪で茶会やレッスンも行っています。日本語、英語でのレッスンが可能です。

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